ジャポニカアレイは日本人の大規模ゲノム解析の成果に基いて作られた日本初の日本人のゲノム解析に特化したSNPアレイです。全ゲノム解析にはハイスループットシークエンサで全ての塩基を読み取る方法(全ゲノムシークエンシング)と、SNPアレイとよばれるマイクロアレイで狙った位置の塩基の状態(SNP)を検出する方法があります。全ゲノムシークエンシングはヒトがもつ遺伝的多様性を網羅的に捉えることができるものの、解析にかかる手間とコストが大きいという特徴があります。一方、DNAマイクロアレイは高精度で比較的安価に、しかも一度に多数の検体(ジャポニカアレイは一度に96人分の解析が可能です)を解析できるものの、解析可能なSNP数は全ゲノム解析には及びません。ジャポニカアレイはその両者の良い特徴、すなわち低コスト・高精度・ハイスループットで日本人が持つSNPなどの遺伝的多様性を大量に取得可能なツールを目指して開発したツールです。そのために私たちは「ジェノタイプインピュテーション(インピュテーション)」という統計手法を活用しています。インピュテーションとはリファレンスパネルと呼ばれる標準的なSNPのコレクションの情報を参照して、SNPアレイで設計されていない部位の遺伝型情報を統計的に推定する手法です。そのために、私たちは東北メディカル・メガバンク機構が構築した日本人全ゲノムリファレンスパルのSNPの中からパネルと組み合わせることによって高精度なインピュテーションを実現できるようなSNPを選択し、その成果に基づきジャポニカアレイを設計しました。ジャポニカアレイと日本人全ゲノムリファレンスパネルを使ったインピュテーションは既存のアレイ・パネルと比較して高精度に可能であることも確認しました。また、ジャポニカアレイは当機構のゲノムコホート研究だけではなく日本全国の研究科機関でGWASなどのゲノム研究にも幅広く活用されています。
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このソフトウェアに関連した引用は以下の論文になります。
Yosuke Kawai, Takahiro Mimori, Kaname Kojima, Naoki Nariai, Inaho Danjoh, Rumiko Saito, Jun Yasuda, Masayuki Yamamoto and Masao Nagasaki,