XiP (eXtensible Integrative Pipeline)
システム生物学の分野では、マイクロアレイ、CAGE, qRT-PCRなどの手法によって計測されたデータを解析することで、遺伝子間の制御構造をパスウェイとして推定したり、in silicoでモデル化したパスウェイをシミュレーションすることで、未知の制御因子を探索したりすることを行っています。
また、文献情報を自然言語処理やエキスパートが読むことで抽出した遺伝子間の関係を整理しパスウェイのデータベースとして公開することもおこなっています。これら一連のパスウェイの情報を整理するために、システム生物学の分野では、いくつかの表記規則が提案されています。
本プロジェクトでは、CSML (Cell System Markup Language http://www.csml.org/) というXML記法に基づく表記規則を開発しています。CSMLを用いることで、細胞内の遺伝子制御ネットワーク、代謝ネットワーク、シグナル伝達系、細胞間の制御関係などを、システムダイナミクスを含めて記述することができます。本研究室では、このCSML表現形式に基づく、システム生物学の分野で行われているさまざまなネットワークの推定、整理、可視化など解析のフローを視覚的に整理、実行するための統合解析環境XiPというソフトウェアを開発しています。 XiPでは、動的ネットワークパラメータ推定、静的グラフ構造解析、ネットワークの自動レイアウト、ネットワークの視覚化、ネットワークのフィルタリングなどの300以上の解析コンポーネントを登録しています。現在は、スパコン上で一部のコンポーネントがシームレスに実行できるような拡張また、高性能シーケンサから算出されるデータの扱いがこのソフトウェアの上で動作するような研究開発を行っています。