長﨑教授が学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点 第13回シンポジウムにて参加発表を行いました(7月9日)

長﨑教授が学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点 第 13 回シンポジウムにて参加発表を行いました。

・日時:令和3年7月9日(金)15:20-15:40
・場所:オンライン
・セッション:【会場A】オーラルセッション4
・講演タイトル:ハイブリッドクラウド構築とゲノム情報解析の効率的な運用に関した研究

URL:https://jhpcn-kyoten.itc.u-tokyo.ac.jp/ja/sympo/13th

原発性胆汁性胆管炎のゲノムワイド関連解析- 国際メタ解析による新規疾患感受性遺伝子と治療薬候補の同定-【プレスリリース】

当研究室で行った研究がプレスリリース発表されました。

長﨑正朗 学際融合教育研究推進センター特定教授、Gervais Olivier 同研究員(研究当時)、中村稔 長崎大学教授らの研究グループ(日本人PBC-GWAS consortium)とGeorge Mells イギリス・ケンブリッジ大学博士のグループ(UK-PBC consortium)は、「PBC-GWAS国際共同研究(参加国:イギリス、イタリア、カナダ、米国、中国、日本)」に登録された原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC)患者 10,516症例とコントロール 20,772例のゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study:GWAS)データを用いて国際メタ解析を実施し、新規疾患感受性遺伝子領域21ヵ所を含む計60ヶ所のPBC疾患感受性遺伝子領域を同定することに成功しました。

新たに同定された21ヵ所の疾患感受性遺伝子座の中には、FCRL3、INAVA、PRDM1、IRF7、CCR6などの免疫反応に重要な役割をもつ遺伝子が多数含まれており、PBCの発症に様々な免疫担当細胞(樹状細胞、マクロファージ、T細胞、B細胞)の活性・分化経路が関与していることがあらためて示されました。また、疾患感受性遺伝子領域には異なる集団(人種)間において一致率約70%とある程度の相違はあるものの、PBC発症に関わる遺伝子構造や疾患発症経路は異なる集団間で共通しており、TLR-TNF signaling、JAK-STAT signaling細胞のTFH,TH1,TH17,TREG細胞への分化経路やB細胞の形質細胞への分化経路がPBCの発症に重要であることが明らかとなりました。

また、これらのGWAS情報を用いたin silico drug efficacy screeningにより、既存の薬物の中からPBC治療への再利用が期待される薬物候補として、免疫療法薬(i.e. Ustekinumab,Abatacept,Denosumab)、レチノイド(i.e. Acitretin)、フィブラート(i.e. bezafibrate)などが同定されました。一方、PBC治療の第一選択薬として広く使用されているウルソデオキシコール酸は、このスクリーニング方法では薬物候補としては選択されず、GWASの結果から推定される上記疾患発症経路とは異なる経路上の標的に作用している可能性が示唆されました。

本研究成果は、2021年5月21日に、国際学術誌「Journal of Hepatology」に掲載されました。→An international genome-wide meta-analysis of primary biliary cholangitis: novel risk loci and candidate drugs.

プレスリリース本文のリンク

長﨑教授がAWS Public Sector Summit Onlineにて招待講演を行いました(2021年4月16日)

4月16日(金)‌長﨑教授がAWS Public Sector Summit Onlineにて招待講演を行いました。

AWS Public Sector Summit Online
・日時:令和3年4月15日(木)-16日(金)
・場所:オンライン
・セッション:I run complex AWS workloads
・講演タイトル:Accelerate the pace of research with Kyoto University
・言語:英語

AWS Public Sector Summit Online April 15-16, 2021

セッションはオンデマンド配信されます。
Breakout Sessions>I run complex AWS workloads> Accelerate the pace of research with Kyoto University

原発性胆汁性胆管炎の新たな遺伝要因を同定 ーヒト全ゲノム領域へのRHM法による世界初の成果―【プレスリリース】

当研究室で行った研究がプレスリリース発表されました。

京都大学学際融合教育研究推進センター スーパーグローバルコース医学生命系ユニットの長﨑正朗 特定教授、Gervais Olivier研究員(研究当時)、国立国際医療研究センター ゲノム医科学プロジェクト 戸山プロジェクト長 徳永 勝士らのグループは、長崎大学大学院医歯薬総合研究科教授/国立病院機構長崎医療センター客員研究員の中村稔らのグループが世界規模で臨床研究を進めている、原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis; PBC)(合計1,953人)の日本人遺伝子データベースと日本人の一般集団の全ゲノムデータベース(合計3,690人)との比較を行いました。

その結果、日本人では今まで報告がない3箇所の新規領域を含む、合計7箇所の染色体上の疾患に関わる候補領域を、ほとんどヒトゲノム情報に適用されたことがないポリジェニック効果を考慮した手法、領域内遺伝率推定法(Regional Heritability Mapping法; RHM)による、ゲノム解析から同定しました。

また、再現性を確認するため、3か所の新規染色体対象領域に含まれるSNP(一塩基多型)のうち、統計量が一番有意であったSNPについて、前述の集団とは独立したPBC患者(合計220人)と、京都府立医科大学 大学院医学研究科 上田 真由美特任准教授から提供された一般集団の全ゲノム情報(合計271人)との間で遺伝型の頻度に有意差があるか解析を行いました。その結果、日本人では今まで報告がない3箇所の遺伝子領域(STAT4(注4)、ULK4(注5)、KCNH5(注6)) いずれについても疾患に関係することを再確認できました。

さらに、これら3か所の遺伝子のうち特に海外でも報告例がないULK4とKCNH5について、PBCの患者由来の遺伝子と非罹患群の遺伝子のトランスクリプトーム発現量を比較ました。その結果、ULK4を含む領域についてPBC罹患群で発現上昇していることを見出しました。

RHM法をヒト全ゲノム解析に適用することで新規の遺伝要因を同定したこと、独立した集団を用いてRHM法で同定された遺伝要因の再検証をする一連のスキームを確立したこと双方の成果が世界初になります。同手法は、PBC疾患以外の多因子疾患にも幅広く適用可能であり、今後さまざまな疾患にも適用することで一般的なゲノム情報解析手法では見逃されていた遺伝要因を新たに同定できると期待しています。

本研究は、科学雑誌「European Journal of Human Genetics」オンライン版(9日付:日本時間2021年4月9日)に掲載されました。→Regional heritability mapping identifies several novel loci (STAT4, ULK4, and KCNH5) for primary biliary cholangitis in the Japanese population

研究のポイント

  • 日本人遺伝子データベース(PBC罹患群と一般集団)を比較解析し日本人のPBC(primary biliary cholangitis)疾患に関わる3つの新規遺伝子候補領域(STAT4,ULK4,KCNH5)を同定
  • 同ゲノム解析に、領域内遺伝率推定法(Regional Heritability Mapping; RHM)法を活用
  • 独立した日本人遺伝子データベース(PBC罹患群と一般集団)を比較解析し3か所の再現性を検証
  • PBC罹患群と非罹患群との間でULK4とKCNH5の肝臓における遺伝子発現量を比較し、ULK4遺伝子がPBC罹患群で発現上昇することを確認
  • RHM法をヒト全ゲノム解析に適用し新規の遺伝要因を同定したこと、および、独立した集団に対しRHM法で同定された遺伝要因を検証する一連のスキームを確立したこと双方が世界初
  • 今後、同手法は幅広く新規の遺伝要因の探索に適用可能

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