長﨑研:研究室住所変更のお知らせ

長﨑研究室が加齢医学研究所より、
東北メディカル・メガバンク棟へ移設いたしました。
新住所は下記になります。

〒980-8573
仙台市青葉区星陵町2-1
東北メディカル・メガバンク棟4F
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門
バイオメディカル情報解析分野
長﨑研究室

アクセスについてはリンクをご参照下さい。
http://nagasakilab.csml.org/ja/access-2

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九州大学にて講演 : 長﨑教授, 成相助教 (3月18日)

長﨑正朗教授、成相直樹助教が3/18に九州大学馬出キャンパスにて講演を行いましたのでお知らせ致します。

日時:3月18日(火)
「よく分かる次世代シークエンサー解析~最先端トランスクリプトーム解析~」

場所 : 九州大学馬出キャンパス コラボステーションⅠ 共同セミナー室A・B 総合研究棟 ITルーム
講師:長﨑正朗、成相直樹

13:00~13:30 セミナー「日本人1000人の全ゲノムの解析の現状と課題」

場所:コラボステーションⅠ 共同セミナー室A・B
講師:長﨑正朗
東北大学東北メディカル・メガバンク機構では2013年11月29日に1000人ゲノムのシークエンスが完了した。本セミナーではヒトの全ゲノム解析の現状と見えてきている課題、現在得られている変異コールの精度,データの公開などを含め時間の取れる範囲で話を行う。

13:30~14:00 セミナー「RNA-Seq データからの網羅的な遺伝子発現レベル解析手法」
場所:コラボステーションⅠ 共同セミナー室A・B
講師:成相直樹
近年、次世代シークエンサによるRNA-Seq 技術により、サンプルの遺伝子発現を網羅的かつ一塩基レベルの高解像度で解析することが可能となった。
本発表の前半部分では、これまでに提案されてきたRNA-Seqデータ解析手法である TopHat/Cufflinks、RSEM等を紹介し、それらの有効性及び問題点を指摘する。本発表の後半部分では、より高精度な遺伝子発現レベル推定を実現するため、モデルの複雑さ(転写産物の候補の数)、隠れ変数(マッピングの曖昧さ)、パラメータ(転写量)を、変分ベイズ推定により同時に最適化する統計的手法 TIGAR を紹介する。

14:30~16:30 トレーニング「TIGARによるRNA-Seqデータからの網羅的な遺伝子発現レベル解析実践」
場所:総合研究棟 ITルーム
次世代シークエンサから得られたRNA-Seqデータから、サンプルの遺伝子発現レベルを網羅的かつ高精度に解析するためのソフトウェアである TIGAR を利用する方法について解説する。リファレンス配列やアノテーション情報などソフトウェア実行のために必要なファイルの準備から、ソフトウェアの実行、解析結果の解釈、及び発現差解析などの下流解析まで実践する。

詳細
http://chromatin.med.kyushu-u.ac.jp/archives/218

第47回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(2月28 日)

第47回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。
今回は産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター・David duVerle先生を講師としてお迎えし、「高次元データにおける遺伝子の組み合わせ相互作用の発見」について講演していただきます。

・日時:平成26年2月28 日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク機構2階会議室1
・演題:Discovering Combinatorial Gene Interactions in High-Dimensional Data
・講師:David duVerle(産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

要旨:In the past decade or so, new technologies in biotech have meant an explosion in the availability of high-dimensional genomic data (microarrays, SNP data, RNA-Seq…): their dimension and noise levels making it necessary to rely on machine learning techniques and statistical models to extract meaningful signal and narrow down the field for further experimental research. In this presentation, I will try to give a very general overview of some of the statistical techniques commonly used to treat high-dimensional data, as well as a more detailed illustration of the technique we developed to identify combinatorial interaction effects in such data.
A crucial aspect of machine-learning when dealing with high-dimensional data, is the concept of sparsity: how much of the input’s variables find their way in the model. By using regularisation techniques (the addition of a tailored penalisation component), it is possible to ensure certain properties of the statistical model (size, elimination of collinear variables…). Another, is the fitting of complex statistical models that cannot be solved analytically, usually requiring optimising a non-linear objective function (e.g to maximise likelihood or minimise empirical error). While relatively simple in application, both techniques require some understanding of the underlying statistical assumption and information theoretic implications, in order to obtain satisfying results.
After giving a brief overview of regularisation techniques and their use in typical regression problems encountered in bioinformatics, I will introduce our recent work, which combines them with data-mining (itemset mining) and fractional programming techniques to fit complex statistical models over (non-linear) combinations of heterogeneous input variables, allowing for example to identify sets of genes (up- or down-regulated) that drive complex phenotypes or clinical observations.
This work was in particular successfully applied to a combination of cDNA microarray and gene mutation copy number data paired with (right-censored) survival data, to identify interactions (and potential synthetic lethals) playing a role in neuroblastoma and breast-cancer.

・世話人: 長崎正朗

第45回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(2月18日)

第45回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は国立遺伝学研究所 斎藤成也先生を講師としてお迎えし、「日本列島人のDNA進化:その過去と現在」について講演していただきます。

・日時:平成26年2月18日(火) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク機構2階会議室1
・演題:日本列島人のDNA進化:その過去と現在
・講師:斎藤成也(国立遺伝学研究所)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

概要:日本列島人の成り立ちについて、縄文時代から住んでいた「縄文系」と,弥生時代以降の「渡来系」の二つに考えて説明した考え方を「二重構造モデル」と呼ぶ。このモデルによれば、まず東南アジアに住んでいた古いタイプのアジア人集団の子孫が、旧石器時代に最初に日本列島に移住して、縄文人を形成した。その後弥生時代に移るころに,北東アジアからの移住があった。彼らはもともとは縄文人と同じ祖先集団から誕生し、その後独自の変化をして、顔などの形態が縄文人とは異なってきた。これら大陸からの渡来人は,先住民である縄文人の子孫と混血をくりかえした。ところが北海道にいた縄文人の子孫集団は渡来人との混血をほとんど経ず,アイヌ人集団につながっていった。沖縄を中心とする南西諸島の集団も,本土から多くの移住があったが,日本列島本土に比べると縄文人の特徴をより強く残した。以上のモデルは、おもに埴原和郎ら人骨データを解析した研究者が提唱したものだが、その後のゲノム規模SNPデータの解析結果も、この二重構造モデルを概略支持している。一方、古代人のDNAを直接調べる研究は、これまでミトコンドリアDNAが中心だったが、最近私の研究室と国立科学博物館を中心とした解析チームが、東北地方の複数の縄文貝塚遺跡から出土した人骨にのこっていたゲノムDNAの一部分を決定することに成功した。これらの結果は、縄文時代人が東ユーラシアの中できわめて特殊な集団だったことを明確にしめしている。今回の講演では、これらの、日本列島に過去から現在まで居住してきた人々のゲノムDNAの進化について、最新の成果を含めてお話しする。

・世話人:河合洋介、長崎正朗

 

第46回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(2月21日)

第46回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。

今回は産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター・Martin Frith先生を講師としてお迎えし、「元来の統計的アライメントにおける最新高スループットDNAの適応」について講演していただきます。

・日時:平成26年2月21日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク機構2階会議室1
・演題:Adapting classic statistical alignment to modern high-throughput DNA
・講師:Martin Frith(産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

For many decades, the main way of analyzing biological sequences has been by comparing and aligning them.  This remains true today.  Modern tasks include: comparing whole genomes; aligning bisulfite-converted DNA reads to a genome; aligning long, high-error sequences from single molecule sequencers; aligning ancient or degraded DNA; comparing metagenomic DNA to a protein database. Over the decades, statistically powerful alignment techniques have been developed, including: log likelihood ratio scoring matrices, pair hidden Markov models, and probabilistic alignment.  Unfortunately, these methods are rarely used with modern deep sequencing data, This talk will also sketch how to incorporate some new features into classic statistical alignment: sequence quality data (phred scores); pairing relationships between DNA reads; and split alignment, where different parts of one query sequence may align to disjoint loci in a genome.  This is useful for genome rearrangements, spliced RNA splicing), and even whole genome comparison.  The statistical approach can tell us the reliability (unambiguity) of any part of an alignment.

・世話人: 長﨑正朗

第44 回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(1月17日)

第44回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。
今回は東京大学大学院農学生命科学研究科・新村芳人先生を講師としてお迎えし、「脊椎動物嗅覚受容体遺伝子の進化 〜環境に応じて変化するゲノム〜」というタイトルで講演していただきます。

・日時:平成26年1月17日(金) 16:00‐17:30
・場所:医学部1号館2階 中会議室
・演題:脊椎動物嗅覚受容体遺伝子の進化 〜環境に応じて変化するゲノム〜
・講師:新村芳人(東京大学大学院農学生命科学研究科)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

概要:環境中の多様な匂い分子は、嗅覚受容体(olfactory receptor, OR)によって検出される。OR遺伝子は哺乳類で最大の遺伝子ファミリーを形成し、その数はヒトで約400個、マウスやラットでは1,000個以上におよぶ。OR遺伝子ファミリーは、種によって遺伝子数が大きく異なること、進化過程での重複や欠失が極めて多いことによって特徴づけられる。また、個々のOR遺伝子ごとに進化ダイナミクスが異なり、多くの子孫を生み出す遺伝子が存在する反面、重複や欠失がなく進化的に安定しているような遺伝子はほとんど存在しないことも明らかになった。本講演では、脊椎動物OR遺伝子ファミリーの進化に着目して、匂いという感覚の不思議に迫ってみたい。

世話人:黒木陽子、長﨑正朗

第43 回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(12月20日)

第43回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回はYale大学・田中義章先生を講師としてお迎えし、「患者由来iPS細胞をもちいたレット症候群トランスクリプトーム解析」について講演していただきます。

・日時:平成25年12月20日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク機構2階会議室1
・演題:患者由来iPS細胞をもちいたレット症候群トランスクリプトーム解析
・講師:田中義章(Yale University)

概要: レット症候群(RTT)は女児特異的におこる神経発達障害のひとつであり、生後6-18カ月内に言語障害や運動障害などの症状を示す。レット症候群患者の90%以上はメチル化DNA結合タンパク質のMeCP2に変異を持つ。MeCP2はX染色体上に存在するためX染色体不活性化の影響を受ける。またMeCP2は生存上重要な遺伝子であるため、レット症候群患者は片方のX染色体のみにMeCP2の変異を持つ。これまでにMeCP2欠損マウスやヒト死後脳からRTTに関するさまざまな知見が得られてきたが、レット症候群の早期発達期における疾患メカニズムはまだ十分に理解されていない。近年、我々はレット症候群患者の繊維芽細胞よりiPS細胞(RTT-iPS細胞)を作製し、野生型MeCP2を発現するRTT-wt-iPS細胞クローンと変異型MeCP2を発現するRTT-mu-iPS細胞クローンを単離した。またiPS細胞作製時に、X染色体の再活性化を示すクローンが観察され、野生型と変異型の両方を発現するRTT-bi-iPS細胞も同時に単離した。本研究ではMeCP2の多能性幹細胞における影響を調べるために、これらのRTT-iPS細胞クローンを利用しトランスクリプトーム解析を行った。その結果、スプライシングや細胞周期関連遺伝子などこれまでMeCP2が関与すると報告されていたものに加え、ミトコンドリア関連遺伝子がRTT-mu-iPS細胞において過剰発現をしていることを発見した。またミトコンドリア遺伝子の過剰発現は神経分化後や死後脳でも観察された。さらにRTT-bi-iPS細胞を利用してMeCP2のX染色体における影響も明らかにした。これらの結果は早期発達におけるMeCP2変異が与える影響の理解や新しい治療ターゲットとして重要である。

世話人:山下理宇、長﨑正朗