第65回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(11月27日)

第65回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は名古屋大学大学院医学系研究科・山本敏充先生を講師としてお迎えし、常染色体・Y染色体上のマイクロサテライトから見た様々なヒト集団の遺伝的関係について講演していただきます。

・日時:平成27年11月27日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2  

・演題:常染色体・Y染色体上のマイクロサテライトから見た様々なヒト集団の遺伝的関係 -日本及び日本周辺のヒト集団を中心として-
・講師:山本敏充(名古屋大学大学院医学系研究科 法医・生命倫理学)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:現在では、多くのヒト集団遺伝学的研究が、約1MのゲノムワイドSNPs解析や全ゲノム配列解析によりなされている。一方、法科学分野では、マイクロサテライト(法科学分野ではSTRs: short tandem repeats)が、個人識別や血縁関係を調べるために、十数座位を型判定できるマルチプレックスキットが市販化され、世界中で汎用されている。それらのデータを利用して、各個人の祖先系ヒト集団を推定することは、ある程度可能である。しかし、日本周辺諸国の比較的遺伝的に近縁なヒト集団の祖先系を推定することは、困難である。本講演では、我々が行ってきた、105座位のSTRsのデータによる東・東南アジアなどヒト地域集団の遺伝的関係や、それらのデータを用いた、日本人と中国人、あるいは、日本人と韓国人(朝鮮族)とを統計学的に区別する可能性について紹介する。また、Y染色体上STRs(Y-STRs)も、性犯罪や男系の血縁関係を調べる上で、法科学的に重要で、常染色体STRs同様、市販化キットが汎用されている。このキットを利用した、モンゴル5地域のヒト集団、並びに、理化学研究所BRCとの共同研究で行った南米の少数民族おける、Y-STRsハプロタイプ・ネットワーク解析結果を紹介する。

・世話人:河合洋介、長﨑正朗

第64回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(11月24日)

第64回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は自然科学研究機構 新分野創成センター・郷康広先生を講師としてお迎えし、「ゲノムを通して我が身を知る〜ヒトとサルの間にあるもの〜」について講演していただきます。

・日時:平成27年11月24日(火) 16:00‐17:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2
・演題:ゲノムを通して我が身を知る〜ヒトとサルの間にあるもの〜
・講師:郷 康広(自然科学研究機構 新分野創成センター)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:ヒトの参照ゲノム配列が解読されて15年あまり、ヒトの病気の原因遺伝子解明や多様性研究のために、10万人全ゲノム解析やシングルセルゲノミクス・トランスクリプトミクス研究が世界規模で進められている。しかし、いくら多様なヒトゲノムが明らかになったとしても、ヒトの本質的な理解、さらには進化的意義を知るためには、ヒトゲノムだけでなく、ヒト以外の種の個性や多様性とヒトのそれらを比較することが必要不可欠である。そこで、私は病気と進化を二つのキーワードとし、ヒトの比較対象としてヒト以外の霊長類、特にチンパンジーやマカクザル・マーモセットのゲノム多様性解析、脳を対象としたトランスクリプトーム解析を中心に研究をすすめている。それらヒト以外の霊長類ゲノム・トランスクリプトーム研究から見えてくる「ヒトとサルの間にあるもの」について考えてみたい。

・世話人:佐藤行人、長﨑正朗

日本人類遺伝学会 第60回大会にて講演(10月16日)

河合洋介 講師が10月16日(金)に日本人類遺伝学会 第60回大会のランチョンセミナーにて講演を行いました。

講演会名:日本人類遺伝学会 第60回大会 ランチョンセミナー8
日時:2015年10月16日(金)
場所 : 京王プラザホテル(新宿)
講師:河合洋介 12:30~13:20「ISNPアレイデータの全ゲノムインピュテーション」

プログラムの詳細はこちらにて

第4回学際領域ゼミ開催のお知らせ(9月17日)

東北大学大学院医学系研究科 平成27年度 第4回学際領域ゼミを下記のとおり行いますのでご案内いたします。

・日時:平成27年9月17日(木) 18:00‐20:00
・場所:第1講義室(医学部1号館1階)
・演題:情報科学からみたゲノム医療
・講師:長﨑 正朗 教授

※本ゼミは、医学履修課程2~4年次、障害後期課程2~3年次学生の履修対象科目です。

1.ゼミ(全6回)の出席とブースター申請にて、単位が認定されますので、該当学生は必ず参加ください。
今年度のブースター申請受付は、終了しました。
2.ゼミの出席は、受付で配付する感想文の提出をもって確認します。 単位履修者はゼミ終了後に感想文回収箱までご提出ください。

一般講演も兼ねておりますので、 学部生・教職員のみなさまも奮ってご参加ください。

掲載元:東北大学大学院医学系研究科 医学部 ウェブサイト

第62回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(8月21日)

第62回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は東京大学医科学研究所・Ashwini Patil先生を講師としてお迎えし、ネットワーク解析手法を用いた経時的な遺伝子発現プロファイルからの活性遺伝子サブネットワークの特定について講演していただきます。

・日時:平成27年8月21日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2
・演題:Identifying active gene sub-networks from time-course gene expression profiles using a network analysis method
・講師:Ashwini Patil(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:Time-course gene expression profiles are frequently used to study cellular response to stimulus and to infer molecular pathways involved in cellular response. I will introduce a method to identify active gene sub-networks with temporal paths using time-course gene expression profiles in the context of a weighted gene regulatory and protein-protein interaction network. The method uses a specialized form of the network flow optimization approach to identify the most probable paths connecting the genes with significant changes in expression at consecutive time intervals. We used this method to identify response pathways in the innate immune response using time course gene expression profiles of activated immune cells1 as well as the yeast osmotic stress response2. Using this method, we are now comparing the regulatory networks responsible for the distinct immune outcomes produced from different pathogens. Using these response networks, we would like to identify unique regulatory genes associated with each pathogenic component to help better understand the ways in which the immune response differs for distinct pathogens.

・世話人:長﨑正朗

本人に最適化されたSNPアレイ「ジャポニカアレイ®」を設計〜約66万個のSNP情報を搭載した個別化予防・医療研究を加速する解析ツール〜【プレスリリース】

東北大学東北メディカル・メガバンク機構ゲノム解析部門の長﨑正朗教授、河合洋介講師らは、日本人集団のもつSNPを全ゲノム領域を網羅し高精度で取得できる、日本人に最適化されたSNPアレイ「ジャポニカアレイ®」の設計に世界で初めて成功しました。
ジャポニカアレイ®の設計は、東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査に協力した1,070人分の全ゲノム情報を活用し、独自のSNP選択アルゴリズムを開発・実装してスーパーコンピュータ上で解析することで実現されました。
遺伝子型インピュテーション(以下、インピュテーション)技術を用いることで約66万個のSNPを搭載したジャポニカアレイ®から最大2,000万SNPを取得可能です。
ジャポニカアレイ®は既存の同等数のSNPが搭載されているアレイと比べてインピュテーションの精度が10%以上向上し、また、3倍以上の数のSNPが搭載されている既存のSNPアレイとほぼ同等またはそれ以上の性能を発揮します。
この研究は、日本人に固有な体質・疾患の関連遺伝子を大規模に探索研究する為の基盤解析ツールであり、日本人の個別化予防・医療研究を加速する重要な成果です。本研究成果の詳細は、2015年6月25日(英国時間)Journal of Human Genetics誌のオンライン版で公開されました。
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【論文名】
Yosuke Kawai, Takahiro Mimori, Kaname Kojima, Naoki Nariai, Inaho Danjoh, Rumiko Saito, Jun Yasuda, Masayuki Yamamoto, Masao Nagasaki
Japonica Array: Improved genotype imputation by designing a population-specific SNP array with 1,070 Japanese individuals
「ジャポニカアレイ®:1,070人の日本人の情報に基づく日本人集団に適したSNPアレイの設計によるインピュテーションの改良」
掲載予定誌:Journal of Human Genetics

また、今回の発表にあわせて、研究者の興味のあるSNPが搭載されているかを評価できるようにジャポニカアレイ®に搭載されているSNPのリストについて一般公開を開始しました。
さらに、ジャポニカアレイ®を用いて未搭載のSNPがどの程度の精度でインピュテーション可能かについて問合わせを行うことができるポータルサイトを公開しました。
ジャポニカアレイ®は、株式会社 東芝へのライセンスのもと、一般にジェノタイピングサービスの提供が行われています。

 プレスリリース本文pdf

 

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第61回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(4月16日)

第61回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は東京大学大学院新領域創成科学研究科・小林一三先生を講師としてお迎えし、「エピジェネティクス駆動進化:細菌種内複数系列でのOMICS比較による実証」について講演していただきます。

・日時:平成27年4月16日(木) 10:00‐11:00
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2
・演題:エピジェネティクス駆動進化:細菌種内複数系列でのOMICS比較による実証
・講師:小林 一三(東京大学大学院新領域創成科学研究科)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:適応進化についての 「多様なゲノム配列からの選択」という考え方と対照的に、進化の単位を「エピゲノム状態」とする考え方が現れている。エピゲノム状態が直接次世代に伝えられる細菌で、その証拠を得た。細菌のDNAメチル化酵素の多くは、同じ配列を認識する制限酵素と制限修飾系を作る。それらは、「非自己」エピゲノムを破壊する「利己的な」エピジェネティックス系である。制限修飾系を排除した細胞を染色体切断によって排除することによって、特定のメチローム状態をホスト細菌に強制する。私達は、細菌種内複数系統のゲノム配列比較、メチローム比較、トランスクリプトーム比較 によって、制限修飾系が、頻繁に認識配列を変換し、メチロームを多様に作り替え、遺伝子発現パターンと様々な形質を変えることを実証した。 それら制限修飾系の内外環境による制御、真核生物の脱メチル化酵素と同様に塩基を切り出すタイプの制限酵素、メタゲノム解析で使われるrRNA遺伝子の崩壊と変貌についても紹介し、マイクロバイオームのミクロ進化をどう捉えていくかを考察したい。

・世話人:黒木陽子、長﨑正朗

第59回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(3月13日)

第59回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は統計数理研究所・間野修平先生を講師としてお迎えし、「Approximate Bayesian Computationとその応用」について講演していただきます。

・日時:平成27年3月13日(金) 17:00‐18:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2
・演題: Approximate Bayesian Computationとその応用
・講師:間野 修平(統計数理研究所数理・推論研究系)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:複雑なモデルに基づくベイズ的データ解析は、特にデータの大規模化に伴い、計算機性能の限界から、数値的といえども厳密に行うことは難しくなります。外れ値の解析のように、データの規模を生かした記述的方法を用いるのも一法ですが、モデルに基づく推測を欠かせない問題もあります。Approximate Bayesian Computationは、モデルの尤度を明示的に得られないけれども、シミュレートはできることを想定し、厳密性を計算可能な範囲で妥協したベイズ的データ解析の方法です。モデルに基づく一方、要約統計量の構成はアルゴリズム的に行われますので、データのモデリングと機械学習が融合されていることが、方法論としての面白味と思います。 本講演では、背景、理論的基礎と方法、実問題への適用の可能性についてお話させていただきます。

・世話人:河合洋介、長﨑正朗

第58回インシリコ・メガバンク研究会開催のお知らせ(3月6日)

第58回インシリコ・メガバンク研究会を下記のとおり行いますのでご案内いたします。今回は東京大学先端科学技術研究センター・辻真吾先生を講師としてお迎えし、「生命科学分野におけるデータ解析の実際と未来」について講演していただきます。

・日時:平成27年3月6日(金) 16:00‐17:30
・場所:東北メディカル・メガバンク棟3階小会議室2
・演題:生命科学分野におけるデータ解析の実際と未来
・講師:辻 真吾(東京大学先端科学技術研究センター)

*本講演は医学系研究科系統講義コース科目の授業として振替可能です。

・概要:本セミナーでは、私個人の研究成果や経験を中心にして、今後、Computational biologyの分野が進むべき方向性を皆様と一緒に考えて行きたい。話題は多岐にわたるが、次のような内容を予定している。機械学習アルゴリズムを使った予測の例として、Random forests法を使った抗がん剤の効果予測について紹介する。がんのmulti-omicsデータ解析の事例としては、大腸癌における遺伝子発現データとDNAメチル化データの解析と、Deep Learningを使った11種類のがんのmulti-omicsデータの解析事例を紹介する。生物学的知識の表現方法の1つとして、ネットワークが使われることは多いが、こうしたネットワークからの知識の抽出方法についても議論したい。最後に、ゲノム情報が医療やヘルスケア産業に応用されつつある現状を踏まえ、Computational biology分野の社会的な責任についても考慮してみたい。

・世話人:成相直樹、長﨑正朗